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中国南部・雲南省にある都市、昆明。雲南省はラオスと国境を接している。私がこの昆明に来たのは、ラオスから中国へと延びる鉄道に乗ってきたからだ。中国―ラオス鉄道はビエンチャンからつながっていて、途中でルアンパバーンなど人気観光地を経由しながら中国国内へ入る。その最初の大きな都市が、この昆明である。私はバンコクからヴィエンチャンへ、ヴィエンチャンからルアンパバーン、そして昆明にたどり着いた。


中国での行動の基本
中国は他の国と勝手が違うという感覚があり、どう滞在すべきか戸惑う人もいるだろう。ここでは、実際に滞在した感想も含めてまとめておく。
撮影ルールとリスク認識
まず、共産主義国家である中国では、どのように行動すべきかを知っておくことが大切だ。万が一、不適切な行為をすればどうなるか。おそらく市民から通報され、日本を含む他の国と同様に、違法行為であれば逮捕される。考えてみれば当然の話だ。では、中国で気をつけるべきことは何か。まず、むやみにどこでも撮影しないこと(観光地は除く)。軍事施設や空港などを撮影すると、国家機密漏えいとみなされる場合がある。驚くべきことに、中国国内線の機内から上空の景色を撮る行為も対象になり得る。新疆ウイグル自治区などでは特に厳しく、機窓シェードを閉めるよう指示が出ることもあるという。ここを守れば、まずは大きな問題は避けられるはずだ。


持ち物の注意:CCC(3C)マークのモバイルバッテリー
次にモバイルバッテリー。中国では「CCC(いわゆる3C)マーク」の無いバッテリーは持ち込み不可とされる。私は陸路で中国に入ったため検査はなかったが、空港では厳しく取り締まっているのだろう。このCCC対応のモバイルバッテリーは、日本では入手しづらいのが難点だ。
通信環境:ローミングとインターネット
インターネットについては、そこまで神経質になる必要はないと思う。日本の携帯各社には海外ローミングのプランが多く、たとえばahamoなら日本で使っている回線をそのまま中国でも利用できる。ローミングは中国の回線を経由しつつ、日本側の回線からインターネットに出る仕組みなので、基本的には日本国内とほぼ同様にアクセスできる。グレートファイアウォールを経由するのかどうかは不明だが、中国国内回線では見られないサイトも、日本のローミングを使えば問題なく閲覧できた。
決済事情:QRコード中心のキャッシュレス社会
決済はキャッシュレスが基本。私は滞在中、Alipay(アリペイ)を使っていたが、QRコード決済がとにかく便利だ。地下鉄もタクシーも、ほぼAlipayだけで完結する。しかも中国全土で利用できるというスケール感には驚かされる。十数億人の生活がQRコードで動いているのだ。


通貨表記 ¥(YEN | CNY)

最後に注意したいのは通貨表記。中国に到着して最初に驚くのは価格表示で、「地下鉄 1日 ¥3」といった表記を見かけることがある。安っ!と思うかもしれないが、これは日本円3円ではなく人民元3元だ。YEN=¥、CNY(元)=¥ と、同じ記号を使うため紛らわしい。中国は物価が安い――という夢は、ここでだいたい10分ほどで覚める。以上を踏まえれば、中国でどう行動すべきか、だいぶイメージがつかめるはずだ。
雲南茶葉批發市場(雲南茶葉卸売市場)
昆明(Kunming)は、お茶で知られる。といっても産地としてより、市場として有名だ。巨大な「雲南茶葉批發市場(雲南茶葉卸売市場)」には、驚くほど多くの茶業者が集まり、富裕層も多く住んでいる印象を受けた。とにかく驚きの多い場所だ。
まず、昆明市内を走る車の多くは、中国メーカーの見慣れないEVだ。車内には大型ディスプレイ、内装は合成皮革で、見た目にも少し高級感がある。一方で、この雲南茶葉批發市場の敷地に足を踏み入れると、雰囲気も、目にする車も、すべてが別世界に変わる。停まっているのは、アウディ、メルセデス・ベンツ、ボルボ、トヨタ、マツダなど、見慣れた海外・日本メーカーの車。派手さはなく、色味も抑えめで、持ち主はお金があり、品のある人なのだろうと想像させる(語弊があるかもしれないが)。要するに、この市場は昆明で茶を扱う富裕層が集まるエリアなのだと分かる。
お金があるとEVには乗らないのか。国産車には乗らないのか。それとも、中国の十数億という人口規模に対して、世界の自動車メーカーが供給しきれないのか――。中国特有のスケールの大きさと、世界との距離感・線引きを、この雲南茶葉批發市場でまざまざと感じることになった。












金木犀に満ち溢れた市内
昆明の駅を降りた瞬間、まず感じたのは金木犀の香りだった。こんなに強く金木犀を感じたのは初めてで、最初は香水かと思った。しかし街を歩くと、どこへ行っても金木犀が街路樹として植えられており、なかでも先ほどの茶市場では、目に入る樹木の多くが金木犀だった。調べると、昆明に近い中国・桂林はさらに金木犀の街として知られ、世界的な産地でもあるという。その影響もあるのかもしれない。「香りは体験である」と言った哲学者がいたが、私の昆明の記憶は金木犀とお茶の香りで満たされている。


宿泊のホテル
Kai Wah Plaza Hotel(昆明佳華廣場ホテル)

中国では少し良いホテルにしようと思い、Trip.comで「Kai Wah Plaza Hotel」を予約した。想像以上に豪華なホテルだった。高速鉄道駅(高鉄駅)からはやや離れているが、地下鉄や在来の鉄道駅から近く、眺望も良いのがポイント。空港へは車で約30分。Alipayで配車をすぐ呼べるので安心(多少の慣れは必要)。宿泊客は地元の人が多く、朝食会場は非常ににぎやかで、落ち着かないほどだった。








昆明の街中写真など





