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クアラルンプールは何度訪れただろうか。コロナ前は AirAsia の直行便で関西空港から何度も足を運んだ。コロナ後に久しぶりに訪れると、活気はコロナ前と変わらないどころか、むしろアジアの熱気が凝縮されたかのように満ちていた。クアラルンプールはマレーシアの首都で、AirAsia が拠点を置くのも、地政学的にマレーシアがハブ空港として重要な位置にあるためだ。スエズ運河開通前の航海時代にはペナン島が著名な寄港地として機能していたが、開通以降は補給や航路短縮の観点、そして金融の集積も相まって、寄港地の中心はペナンからシンガポールへ移った。シンガポールのチャンギ空港は世界的なハブとして機能し、マレーシアも同様にハブ化を進めている。近年はタイ・バンコクもハブ空港として極めて便利だと実感している。いずれにせよ、このマレー半島周辺がアジアのハブとして大きな役割を担っていることは間違いない。
ロングステイしたい都市なのか?

さて、このクアラルンプールを訪れたことがある人は、意外に多いのではないだろうか。日本人が移住したい場所として“ナンバーワン”と語られることがあるが、果たして本当だろうか。食事は本当に日本人に合うのか、宗教的環境はどうか、気候は快適か。英語学習のため? ビザが取りやすいから? 物価が安いから? 何度もクアラルンプールやアジア各地を見てきて抱いた疑問を、この際少し整理してみた。
まず、勘違いしていたのは「移住したい国」ではなく「ロングステイしてみたい国」が1位という点だ。どのような財団がどのように政府と関わり、どのような方法でランキングが作られているかはここでは詳述しないが、ロングステイ財団のサイトにはマレーシアが1位として掲載されている。繰り返しになるが、対象は“移住”ではなく“ロングステイ(長期滞在)”であり、かつ同財団の統計だ。広報やイベントではマレーシアや東南アジアの露出が多く、英語が通じやすいマレーシアが優位になりやすい構造も否めない。ざっとまとめると、クアラルンプールが選ばれる背景には、相対的な生活コストの低さ、英語の通用度、交通ハブとしての利便性、日本人コミュニティの厚みがある。これらはデータで裏づけられる一方、ビザ要件の変化や安全・医療・教育といった生活要素は人によって評価が分かれる。そのため、世界を見渡したときに一概にクアラルンプールがロングステイ向きだとは断定できない。「実際に足を運んで自力で」その土地の良さや住みやすさを確かめるのがよい。最後はこれが最強である。
クアラルンプール空港から市内まで
クアラルンプール空港から市内まではかなり距離があり、約60km、車でも約1時間はかかる。どうしてここまで離れているのかと思うほどだが、距離がある分、交通手段の選択肢は多い。ひとつは Grab。大きな荷物があったり、ゆっくり移動したいときにはもちろん Grab が良い。とはいえ、一般的な選択肢はおそらく KLIA の鉄道だろう。数百円をケチっていては旅人ではないのだが、KLIA2 から片道約1,700円ほどかかるため、2名なら Grab のほうが得な場合もある。空港からホテルの前までそのまま送り届けてくれるのも利点だ。


滞在した日は「マレーシア独立記念日」だった
各国には独立記念日というものがあるのだが日本では何故か多くの人がその日を知らない。というのも、日本にはいわゆる他の国と同じような仕組みの独立記念ではなく建国記念日という名前で祝日となっている。この建国記念日は2月11日。神武天皇の即位を記念=建国記念という位置付けである。しかし、本当の意味での建国記念日というのは、いわゆる主権回復の日と呼ばれる日、4月28日である。これは戦後日本がGHQの進駐軍に統制されていたが昭和27年4月28日をもってようやく日本国としての主権が回復したためである。この日を「主権回復の日」として2013年(平成25年)に第2次安倍内閣が定めたもの。しかし、記念日や祝日になっているわけではないので残念なことにあまり知られてはいない。
マレーシアの独立記念日は8月31日
私が2024年にクアラルンプールを訪れた日はちょうどマレーシアの独立記念日(ハリ・ムルデカ)の日だった。8月31日。1957年、英領からマラヤ連邦が独立した日を記念する。クアラルンプールの独立広場(ムルデカ広場)では国旗掲揚や軍・学生のパレード、首相演説、花火が行われ、全国で祝賀が続く。ツインタワーやタワーもいつもと違ったライトアップが施され、マレーシアの国旗一色の日となる。その2週間後には国家成立を祝う9月16日(マレーシア・デー)が行われる。







どのエリアに宿泊すべきか「ブキッ・ビンタン」がおすすめ
クアラルンプールは、インフィニティプール付きのホテルに泊まると“らしさ”を感じられるが、どのエリアに宿泊するかは結構悩む。初めてならブキッ・ビンタン周辺に宿を取るのがいちばんだろう。私も何度もこのエリアに泊まっており、主要観光地へ徒歩で行けるうえ、比較的リーズナブルに宿泊できる点も魅力だ。
2024年9月宿泊「Axon Luxury Suites KL」
今回(2024年9月)宿泊したのは、ブキッ・ビンタンの「Axon Luxury Suites KL」。Booking.comで予約した。最近値上がりしているのか、1年前よりずいぶん高くなっていた。部屋はとにかく広く、ベッドルームが2つ。キッチンや洗濯機も備わっている(洗濯機はいつも使い方がわからない)。夜景も楽しめ、眺めに浸りながらそのまま眠りに落ちた。マレーシア滞在で注意したいのが、給湯のボイラースイッチの存在だ。これを入れないとお湯が出ないので注意。なお、マレーシアの電源プラグはBFタイプで、日本では一般的でないため変換プラグが必要だ。






まだまだ開発の続くブキッ・ビンタンエリア
ブキッ・ビンタンエリアはLot10などがあるエリアで日本の渋谷みたいな場所なのだが、この場所の再開発が今なお続いている。見渡すと新旧のビルが1フレームに収まりその異様な世界観がマカオの街角のように感じられる。






「バトゥ洞窟」郊外までお出かけ
バトゥ洞窟はクアラルンプール中心から北約13kmの石灰岩洞窟群で、タミル系ヒンドゥーの聖地。高さ約43mのムルガン神像と、色鮮やかな272段の階段が象徴だ。コロナ前に鮮やかになる前にも訪れたがその直後にカラフルになったというニュースを見て驚いた記憶がある。バトゥ洞窟の起源は地質的に数億年前、寺院は19世紀末に整備され、毎年タイプーサムの巡礼(1月下旬から2月上旬の満月の日)で賑わう。アクセスはKTMコミューターが最も手軽で、KLセントラルから終点Batu Caves駅まで直通約30分、駅直結。私は鉄道好きなのでいつも鉄道で行く。Grabでは市内中心部から25〜45分。服装は露出を控え、サルと階段に注意。朝の涼しい時間帯の訪問がおすすめ。階段を上ると奥に洞窟がある。結構体力を使うので体力がない人は階段の下で猿を見学しよう。















