The World’s 50 Best Hotels 2025に選ばれたホテルに10万円で泊まれるのか?円安時代に憧れのラグジュアリーホテル宿泊をまじめに検討する。

The World’s 50 Best Hotels 2025に選ばれたホテルに10万円で泊まれるのか?円安時代に憧れのラグジュアリーホテル宿泊をまじめに検討する。

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世界のラグジュアリーホテルをランキング形式で紹介する「The World’s 50 Best Hotels 2025」。
発表されたリストを眺めていると、どれも一度は泊まってみたくなる名前ばかりが並んでいる。ただ、写真や受賞コメントを読みながら頭をよぎるのは、「いったい一泊いくらするん?」というごく現実的な問い。

ホテル料金の表示も少しややこしい。サイトによっては「1人あたり」の金額で出している場合もあるが、多くのラグジュアリーホテルでは、基本的には1部屋あたり・1泊の料金として設定されていて、2名利用までは同じ価格というケースが多い。本記事で触れる金額も、特に断りのないかぎり「1部屋・1泊」の目安として見てほしい。

それでも、人生のどこかのタイミングで一度くらいは、世界トップクラスのホテルに泊まってみたい。そう考えたときの一つの目安が「一泊10万円」というラインだ。決して安くはないが、特別な記念日やボーナス、マイルやポイントを合わせれば、なんとか現実的に狙えるぎりぎりの水準だと思う。

そこで本記事では、2025年版「The World’s 50 Best Hotels 2025」入りしたホテルを一覧で整理したうえで、「一泊10万円前後で泊まれる可能性があるホテルはどこか?」を、地域別・航空券代も含めて検討してみた。イギリスやフランスのような長距離路線はそもそもエア代が高い一方で、バンコクなど東南アジアは航空券が比較的安く、日本国内にも世界ランキング入りしたホテルがある。「憧れ」と「現実」のあいだで、どのエリアなら手が届きそうなのかを、少し冷静に見ていく。まずはランキングから。

The World’s 50 Best Hotels 2025 ランキング表

順位ホテル名所在地(都市)国・地域特徴
1Rosewood Hong Kong香港香港ヴィクトリア・ハーバーを望む超高層ラグジュアリーホテル。400室超の客室を持ちながら、デザインとサービスのクオリティを高水準で揃えた「アジア的ミニマリズム」の旗艦。2025年の「世界一のホテル」。
2Four Seasons Bangkok at Chao Phraya Riverバンコクタイチャオプラヤー川沿いのアーバンリゾート。299室の客室とインフィニティプール、ミシュラン掲載レストランを備え、都心にいながらリゾート感覚で滞在できる。
3Capella Bangkokバンコクタイ川沿いの低層リゾート型ホテル。全101室がリバービューで、スイートやヴィラ中心の構成。静けさとデザイン性を両立した都会の隠れ家。
4Passalacquaコモ湖畔イタリア18世紀のヴィラを改装したブティックホテル。24室すべて内装が異なり、フレスコ画や装飾が残る歴史的空間での滞在を提供。ヨーロッパ最高のホテルとブティック部門をダブル受賞。
5Raffles Singaporeシンガポールシンガポール1899年創業、コロニアル建築が象徴的な東南アジアのグランホテル。シンガポール・スリング発祥のバーやバトラーサービスなど、「旅の黄金時代」を体現する存在。
6Atlantis The RoyalドバイUAE795室・90個のプール・16のレストランを備える巨大ビーチリゾート。大胆な建築と圧倒的なスケール感で「中東ベストホテル」「ベストビーチホテル」も受賞。
7Mandarin Oriental Bangkokバンコクタイ創業150年以上の老舗。チャオプラヤー川沿いに建つ、アジアを代表するラグジュアリーホテルの一つ。文学者や俳優など著名人に長く愛されてきた。
8Chablé Yucatánチョチョラ(ユカタン)メキシコジャングルの中のウェルネスリゾート。セノーテやスパを中心に、マヤ文化に着想を得た癒やしと滞在体験を提供。北米ベストホテルに選出。
9Four Seasons Firenzeフィレンツェイタリア15世紀のメディチ家ゆかりの宮殿を改装したホテル。フィレンツェ最大級のプライベートガーデンを持ち、芸術作品に囲まれた「宮殿ステイ」が楽しめる。
10Upper House Hong Kong香港香港アンドレ・フーによる第一作ホテルとして知られる、ミニマルなデザインの高層ホテル。客室数を絞り、静かで落ち着いた雰囲気と上質なサービスで支持を集める。
11Copacabana Palaceリオデジャネイロブラジル1923年開業、コパカバーナビーチを象徴する老舗ホテル。ヨーロッパ風の華やかな建築とプールサイドが特徴で、南米ラグジュアリーの代表格。南米ベストホテル。
12Capella Sydneyシドニーオーストラリア旧教育省のサンドストーン建築をリノベーションした都会型ラグジュアリーホテル。192室の客室とアート、屋内プールなどを備え、オセアニアベストホテルに選出。
13Royal Mansourマラケシュモロッコモハメッド6世国王の監修で2010年に開業した「モロッコ文化の結晶」。伝統工芸が隅々まで使われ、フードからインテリアまでモロッコの美意識を徹底的に表現。アフリカベストホテル。
14Mandarin Oriental Qianmen北京中国胡同(フートン)に連なる42棟の四合院(中庭住宅)をそのまま客室とした革新的ホテル。伝統建築と最新設備を融合し、ベストニューホテル賞を受賞。
15Bulgari Tokyo東京日本ブルガリが手がける8番目のホテル。黒御影石と白大理石、金色の天井など、イタリアン・グラマラスと日本の感性を融合した高層ラグジュアリーホテル。
16Claridge’sロンドンイギリス1856年創業、英国上流社会に愛される名門。リージェンシー様式のインテリアと控えめなサービスで、王族や著名人が長く愛用する「ロンドンの居間」のような存在。
17Four Seasons Astir Palaceアテネギリシャ1960年代からアテネ随一のリゾートとして知られるアスティル・パレスを大規模改装。松林とエーゲ海に囲まれたアテネ・リビエラで、リゾート滞在と都市観光の両方を楽しめる。
18Desa Potato Headバリ(スミニャック)インドネシアビーチクラブから発展した「クリエイティブ・ヴィレッジ」。スイートやスタジオのほか、イベントスペースやコミュニティ機能を持ち、ゼロ・プラスチックなど徹底したサステナビリティで評価。
19Le Bristolパリフランス1925年開業、パリ文化人に愛されてきたホテル。クラシックなフレンチインテリアと中庭、ミシュラン星付きダイニングを備え、エレガントな長期滞在にも向く。
20Jumeirah Marsa Al ArabドバイUAEヨット型のシルエットが特徴的な新鋭ホテル。廊下やパブリックスペースは船内を思わせる曲線で構成され、客室は「巨大すぎない」サイズ感で海を眺めるキャビンのような設計。
21Cheval Blanc Parisパリフランスサマリテーヌ百貨店ビルをリノベーションした、セーヌ河畔のラグジュアリーホテル。クリーミーなゴールドトーンの客室と、世界的レストラン「Plénitude」を擁する。
22Bulgari Romaローマイタリア1930年代のラショナリスト建築をリノベーションし、古代ローマ遺跡とモダンなブルガリ世界をつなぐホテル。手作業の大理石モザイクやムラーノガラスなど、素材へのこだわりが強い。
23Hôtel de Crillonパリフランス1758年、ルイ15世の命で作られた建物を活用したパレスホテル。コンコルド広場を見下ろし、クラシックなフランス様式の客室と壮麗なバー「レ・ザンバサダー」が象徴的。
24Rosewood São Pauloサンパウロブラジル旧産科病院を改装したアート性の高い都市型リゾート。180室の客室に加え、豊富な植栽やアート作品が館内に散りばめられ、都会のオアシスのような役割を担う。
25Aman Tokyo東京日本大手町タワー高層階に位置するアマンの都市型フラッグシップ。33階ロビーの吹き抜け空間や、障子・和紙を用いたミニマルデザインが特徴で、「静寂のサンクチュアリ」として知られる。
26Hotel Il Pellicanoポルト・エルコレイタリア1965年にプライベートクラブとして始まった、モンテ・アルジェンターリオの隠れ家ホテル。崖の上からティレニア海を望み、クラシックな「ラ・ドルチェ・ヴィータ」の世界観を今に伝える。
27Hôtel du Couventニースフランス17世紀の修道院を改装したホテル。石造りの回廊や中庭は当時の雰囲気を残しつつ、地下スパやガーデンを新設。静けさと現代的な快適さを兼ね備える。
28Soneva Fushiバア環礁モルディブ「ノーシューズ、ノーニュース」のコンセプトを先駆けて取り入れた、環境配慮型のアイランドリゾート。63棟のヴィラには「ベアフット・ガーディアン」と呼ばれる専任スタッフが付き、究極のリラックスを叶える。
29The Connaughtロンドンイギリス1897年創業のメイフェアの名門。深い木目と赤系の色調が印象的なクラシックな客室デザインに加え、マティーニで有名なバーはロンドンきっての人気スポット。
30La Mamouniaマラケシュモロッコ1923年開業のモロッコを代表するラグジュアリーホテル。幾何学模様のタイル、アーチ、庭園など、モロッコらしい意匠に満ちた客室と、オリーブやオレンジが香る広大なガーデンが魅力。
31Raffles London at The OWOロンドンイギリスチャーチルらが使った旧戦時省(Old War Office)をホテル化。歴史的な石造建築の骨格を残しつつ、ラグジュアリーな客室とスパ、レストランを備えた新しいロンドンのランドマーク。
32The Emoryロンドンイギリスメイボーン・グループが約50年ぶりにロンドンへ開いた全室スイートのホテル。宿泊者は専用スパへのアクセスや荷解きサービスなど、ハイエンドの常連客向けサービスを標準で享受できる。
33Maromaリビエラ・マヤメキシコジャングルとカリブ海に挟まれたロケーションに立つビーチリゾート。2023年の大規模改装で、メキシコのクラフトマンシップを活かしたタイルやテキスタイルを館内の随所に配置。
34The Calileブリスベンオーストラリア「サンシャイン+ミニマル」をテーマにしたプール中心のホテル。ピーチやローズ、ピスタチオカラーの柔らかな色調で統一され、パームスプリングスとマイアミを思わせるリゾート感が特徴。
35The LanaドバイUAEドーチェスター・コレクションによる、落ち着いた雰囲気を重視した新しいドバイのラグジュアリーホテル。ワインレッド(クラレット)のカラースキームで統一し、控えめだが洗練されたインテリアを採用。
36Hôtel de Paris Monte-Carloモンテカルロモナコ1864年からカジノ広場を見守るグランドホテル。派手さを抑えたクラシックな外観の裏に、アールデコ調の客室やフランス料理の名店、ビーチクラブへのアクセスなど、ラグジュアリー要素を凝縮。
37Janu Tokyo東京日本アマンの姉妹ブランド「ジャヌ」の第一号として2024年に麻布台ヒルズに開業。ミニマルなアジアンモダンをベースにしつつ、より明るい色彩やアクティブな共有空間を取り入れた新世代のラグジュアリーホテル。
38The Taj Mahal Palaceムンバイインド1903年にインド資本として初めて誕生したラグジュアリーホテル。手織りカーペット、シルクカーテン、四柱式ベッド、水晶シャンデリアなど、宮殿を思わせるインテリアで、ムンバイの象徴的存在になっている。
39One&Only Mandarinaリビエラ・ナヤリットメキシコ熱帯雨林と太平洋に挟まれた崖の上に建つヴィラリゾート。床から天井までの窓を持つヴィラや、ポロフィールド、トップシェフ監修のレストラン、24時間バトラーサービスなどを備える。
40Singita – Kruger National Parkクルーガー国立公園南アフリカレボンボ、スウェニの2ロッジから成るサファリロッジ。環境負荷を最小限に抑える建築と運営ポリシーを貫きつつ、贅沢なサファリ体験を提供。デザインとサステナビリティが評価されアート・オブ・デザイン賞を受賞。
41Mandarin Oriental Hong Kong香港香港マンダリン・オリエンタルの原点となる1963年開業の旗艦ホテル。クラシックなアジアンホスピタリティと、2026年完了予定の大規模リノベーションによって、伝統とアップデートを両立している。
42Hotel Bel-Airロサンゼルス米国ビバリーヒルズからほど近い12エーカーの緑地に建つリゾートホテル。池や庭園に囲まれた平屋中心の構成で、ハリウッドスターが人目を避けて滞在する場所としても知られる。
43The Markニューヨーク米国マディソンアベニュー沿いのラグジュアリーホテル。アールデコの要素を取り入れた152室の客室は、ニュートラルカラーと淡いピンクをベースにした洗練されたデザインで、多くのセレブが常宿とする。
44Las Ventanas al Paraísoロスカボスメキシコロスカボスのラグジュアリーホテルシーンを牽引してきたリゾート。エントリールームでも専用パティオ付き、ヴィラタイプはプライベートプールやジム、バトラーが付くなど、別荘感覚の滞在が可能。
45The Tokyo Edition Toranomon東京日本虎ノ門の高層タワー上層階にある、エディションブランドの東京拠点。白を基調としたミニマルでモードな客室と、ルーフトップバーなどのソーシャルスペースが特徴。
46Hotel The Mitsui Kyoto京都日本二条城の向かいに位置し、2020年オープン。歴史ある三井家ゆかりの地に建つホテルで、源泉掛け流しの温泉スパとプライベート温泉付き客室が大きな特徴。京都の風景と調和した設計。
47Estelle Manorウィットニー(オックスフォードシャー)イギリス田園地帯に佇む会員制クラブ風のホテル。108室の客室はそれぞれ異なるインテリアで、ベルベットや真鍮、大理石などを多用しつつ、カントリーハウスらしい温かみもある。
48Grand Park Hotel Rovinjロヴィニクロアチアアドリア海を見下ろすロヴィニのランドマークホテル。209室の客室・スイートからマリーナと旧市街を一望でき、世界水準のウェルネスセンターや50mインフィニティプール、7つのバー&レストランを備える。
49Hotel Sacher Viennaウィーンオーストリア1876年、ザッハトルテ生みの親の息子エドゥアルト・ザッハーが創業。伝統的なウィーン風インテリアと、カフェで供されるオリジナル・ザッハトルテで、ウィーン文化そのものを体現するホテル。
50Mandapa, a Ritz-Carlton Reserveウブド(バリ)インドネシアウブドの渓谷と田園に囲まれた「村の中の村」のようなリゾート。バリらしい建築と現代的な快適さを組み合わせ、スパやプライベートヴィラで静かな時間を過ごせる。

「世界のベスト50ホテル」に、1泊10万円でどこまで届くのか?

世界のラグジュアリーホテルランキング「The World’s 50 Best Hotels 2025」。名前を眺めているだけで楽しいけど、いざ「泊まる」と考えた瞬間に一気に現実に引き戻されるのが、やはり価格の問題。

そこで今回は、2025年版のトップ50の中から、「一泊10万円で狙えるホテルはどこまであるのか?」をテーマに、実際の宿泊料金の目安と、日本からの航空券代をあわせて整理してみた。1ドル150円を超える円安が続く中で、どのエリアならまだ“ギリギリ現実的”なのかを検討してみた。

宿泊ができる世界最高級ホテルを探すというのが記事の目的。

※価格はいずれも記事執筆時点のオンライン予約サイトや公式サイトの表示を参考にした目安であり、日程・為替・税金・サービス料によって大きく変動します。

予算は1泊10万円という「現実ライン」か(がんばろう)

前提として、「1泊10万円」はラグジュアリーホテルとしては“下限寄りのライン”になりつつある。1ドル=約150円とすると、10万円はおよそ650ドル前後。世界のトップクラスホテルでは、ハイシーズンだと1泊1000ドル超えが珍しくないエリアも多い。円安もきつい。そう思ったら10万円で一泊は安いはずなのだ。

そのためこの記事では、次のようなイメージでゾーンを分けて考える。

  • Aゾーン:おおむね10万円以下で狙える可能性がある
  • Bゾーン:10万〜15万円前後が目安(頑張れば一生に一度枠)
  • Cゾーン:15万円を大きく超える世界(完全に「憧れ」と割り切るゾーン)

このうち、「50 Best」に並ぶようなホテルでA〜Bゾーンに収まりそうな例をピックアップしていく。

「10万円以下も見えてくる」Aゾーンのホテル

34位 ブリスベン:The Calile(オーストラリア)

オーストラリア・ブリスベンにある「The Calile」は、世界50ベストで34位に入ったライフスタイルホテル。
予約サイトの一例では、平日・2名1泊で約325ドル〜(税別)というプランが出ており、平均価格も約342ドル程度とされている。たまたまかもしれないが。

1ドル=150円で計算すれば、およそ5万円前後。もちろん日程や部屋タイプで上下するが、「世界ベスト50」の中では比較的現実的な価格帯(Expediaより)。

ブリスベンまでの航空券は、バンコクより高く、ロンドンよりは安いことが多いレンジだが、それでもエコノミー往復で概ね10数万円台〜と考えると、「エア込みで総額30万円前後」を狙える可能性はある。プールを囲むように客室が並ぶ、明るいリゾート風デザインなので、「長距離フライト+都市観光」というよりは、ここを“目的地にして泊まる旅”と相性が良い。

7位 バンコク:Mandarin Oriental Bangkok(タイ)

チャオプラヤー川沿いの老舗「マンダリン オリエンタル バンコク」は、昔からアジアのグランホテルとして知られてきた。公式サイトの客室ページを見ると、例えばデラックス・プレミア・ルームの平均レートは1泊約26,953バーツ、バルコニー付きの上位カテゴリーでは約55,789バーツといった表示になっており、ベースのレート自体がかなり高めに設定されている。バーツでも円安の影響が効いている。

エクスペディアで直近30日以内の日付を検索すると、2名1泊の最安値が10万2〜3千円台(税サ別)からという結果が出ており、これは「今後30日間で見つかった中でいちばん安い日」の価格だと明記されている。さらに、他のサイトでも平日でも平均宿泊単価が約676ドル前後と紹介されており、実勢としては10万〜15万円レンジがボリュームゾーン。高いな。

為替を1バーツ=約4〜4.2円でざっくり換算すると、公式サイトの「平均レート」ベースでもデラックス・プレミアでおおよそ11万〜13万円前後になる計算(ギリギリ行けるか)。特別プロモーションや早期割引などをうまく使えば、一時的に税抜きベースで10万円近くまで下がる可能性はあるものの、「オフシーズン・平日なら10万円を切る日も多い」という捉え方は現状では楽観的で、むしろ「ハイシーズンであれば確実に10万円超え、通年でも10万〜15万円は覚悟するホテル」と位置づけた方が現実。

とはいえ、バンコク行きの航空券は比較的安く、エコノミー往復のプロモ運賃では3〜4万円台、通常運賃でも7万〜15万円程度のレンジに収まることが多い。 「飛行機が安い分、ホテルに予算を振りやすい」というのがバンコクの強みであり、トータル予算で見れば、ヨーロッパの中級ホテル+高いエア代と同じくらいの感覚で、世界7位のホテル、世界トップクラスの河畔グランホテルを1泊だけ体験するという旅の組み方は、まだ現実的な選択肢としてありなのではないだろうか。

11位 リオデジャネイロ:Copacabana Palace(ブラジル)

世界50ベスト11位の「Copacabana Palace」は、コパカバーナビーチの象徴的存在。
エクスペディアの直近の検索では、2名1泊で約94,654〜97,721円からというプランが確認できる。

つまり、日程によっては「素泊まりベースでかろうじて10万円を切る」水準だと言える。一方で、平均価格を見ると約560ドル〜1,199ドルといったデータもあり、シーズンや部屋タイプによっては1泊15万円を超えている。

ブラジルまでの航空券は距離も長く、総額ではかなりの出費になるため、「1泊10万円に収まるから行きやすい」とまでは言えない。全く難しいものだ。

しかし、ホテル単体で見れば、世界トップクラスのビーチホテルの中では、まだ“理論上10万円ラインに乗ってくる”希少な存在だと言ってよい。

「10万〜15万円台」が中心のBゾーン

ここから先は、「10万円では届かないが、一生に一度の記念としては現実的に検討できるかもしれない」ゾーンになる。

3位 バンコク:Capella Bangkok

世界ランキング3位の「Capella Bangkok」は、アジアを代表する最新ラグジュアリーホテルの一つ。
予約サイトの一部では平均価格が1泊742〜844ドルと紹介されており、単純計算で約11万〜13万円のレンジになる。

同じバンコクでも、Mandarin Orientalより一段高い価格帯というイメージで、ほぼ確実に「10万円超え」と考えておいたほうが安全。

ただし、航空券が比較的安い点は同様なので、「3泊中1泊だけCapella、残りはもう少し手ごろなホテルに分ける」といった組み合わせなら、トータル予算を抑えつつ“世界3位”を体験する戦略も現実味がある。(といいたい。)

5位 シンガポール:Raffles Singapore

東南アジアのグランホテル「Raffles Singapore」は、平均的な宿泊単価を見ると1泊625〜1,300ドル超とされている。最近のエクスペディアでの検索でも、直近30日分の最安値が13万〜14万8千円台からという結果になっており、1泊10万円では届きづらい。

シンガポールへのフライトも、バンコクよりやや高めになることが多く、「ホテルもエアも高水準」の組み合わせになりがちだが、「人生の節目にスイートで2泊だけ」というような使い方であれば、まだ現実的な検討ラインに入るかもしれない。

日本のランクインホテルはどれくらいのポジションか

2025年版の50 Bestには、日本からも複数のホテルがランクインしている。中でも価格情報がはっきり見えやすいのが「Hotel The Mitsui Kyoto」と「Bulgari Hotel Tokyo」だ。

46位 Hotel The Mitsui Kyoto

Expediaの直近の検索例では、2名1泊・スタンダードで15万円〜(税抜)という料金が表示されている。円建てではあるものの、すでに「Bゾーン上〜Cゾーン寄り」に入っており、1泊10万円ではなかなか届かないレンジになっている。(2人で15万円なら安い?いや、高い。)

15位 Bulgari Hotel Tokyo

2023年日本橋近くに開業した「Bulgari Hotel Tokyo」は、都心のラグジュアリーの中でも別格の価格帯だ。一休.com英語版の掲載価格の一例を見ると、2名1泊・税込み25万3000円〜というプランもあり、ここまで来ると完全にCゾーン=「純粋な憧れ」という位置づけになる。

このほか、Aman Tokyo や The Tokyo Edition Toranomon、Janu Tokyo もいずれもハイエンド価格帯で、時期や部屋タイプを問わず10万円を超えるケースが多い。一方で、同じ東京駅周辺のラグジュアリーとして、パレスホテル東京などは約10万円前後からのプランも見られ、日本国内で「10万円ライン」を意識するなら、こうしたホテル群も含めて比較する必要がある。

航空券込みで考えると、どのエリアが「現実的」か

ホテル単体の価格だけを見ると、オーストラリアやブラジル、東南アジアなど、意外と幅広い地域で10万円前後〜のプランが見つかる。
しかし、日本から実際に旅を組むとなると、航空券の存在が無視できない。

  • バンコク(タイ)
    • エコノミー往復の最安例で3〜4万円台、一般的な相場で7〜15万円台。
    • 「ホテルは高いがエアが安い」パターンで、総額を調整しやすい。
  • ロンドン(イギリス)
    • エコノミー往復の最安で約9万円台、JALなど日系直行便だと16〜18万円前後の例も多い。
    • ロンドンのトップホテルは宿泊費も高額なので、「エア+ホテル」で見るとバンコクの2倍以上になりやすい。
  • 日本国内(東京・京都など)
    • 航空券は不要、もしくは国内線で済むため、予算のほとんどをホテルに集中投下できる。
    • ただし、世界50ベストに入っている国内ホテルは、10万円ラインを超えてくるところが多くなっている。

このあたりを踏まえると、「総額で見て一番現実的なのは、やはりバンコク」という結論になりやすい。エアが安い分、マンダリンオリエンタルや(予算を増やせば)カペラのような“世界上位”ホテルに一泊だけ奮発する、という旅の組み方がしやすい。

次に、オーストラリアでThe Calileのようなデザインホテルに1〜2泊しつつ、残りは中級ホテルに分けるパターンもあり。

そして、「移動時間を減らしたい」「長期休みが取りづらい」場合には、日本国内でAman Tokyoや東京エディション、三井京都などに1泊だけ投資する、という選択肢が妥当かもしれないが、せっかくなので世界を旅して良いホテルに泊まりたい。

まとめ:10万円ラインは「世界レベルに触れるための現実的な目安」

世界のベスト50ホテルを眺めると、「1泊50万円」のような完全に別世界のホテルも少なくない。100万円とかも普通にある。その中で、1泊10万円というラインは、「世界レベルのホスピタリティに触れてみる」ための現実的な入り口ではないだろうか。

  • 宿泊費だけで見れば、
    • The Calile(ブリスベン)、Mandarin Oriental Bangkok、Copacabana Palace(特定日)あたりが、まだ10万円前後で手が届く可能性がある。
  • エア代を含めたトータルコストで見ると、
    • バンコク+マンダリンオリエンタル/カペラの“1泊だけ超高級”戦略
    • ブリスベンでThe Calileに泊まり、残りは中級に振る構成
    • 日本国内で移動時間を抑え、その分ホテルグレードを上げる構成

といった組み方が、現実的な落としどころかなと思う。

「世界ベスト50」は憧れリストとして眺めるだけでも十分楽しいが、その中から“自分の10万円ラインで手が届く一泊”を一つ選び、そこを目標に旅の計画を立ててみると、ランキングが一気に“現実の旅の材料”となるかもしれない。とは言っても高い。せいぜい円安を解消して欲しい。

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